3、LAN構築に必要なソフトとハード

 

1.サーバとクライアント

 LANを構築するには、できればサーバ専用機を設置したいところです。ファイルサーバなどは常時稼動していて、クライアントからログインされたときにいつも所定のディレクトリ(フォルダ)上でファイルが読み書きできるような機能を提供します。

 さて、サーバ機とクライアント機では同じ機種のコンピュータを使用しても構わないでしょうか。結論からいうと構いません。最近のPCは安価ですから、10数万円程度のPCをサーバとして利用すれば、小規模のLANなら色々なことができるはずです。しかし、サーバは常時稼動、マルチユーザアクセスが基本ですから、できれば安定性と信頼性に優れるサーバ専用機を導入するのが好ましいと言えます。最近では、ファイルサーバ専用機などOSもプレインストールの形で買うことができますから、金額的には多少割高になりますが、サーバ専用機を導入する方が無難です。ファイルサーバでは、ハードディスクがクラッシュした時のため、二重にバックアップをとっておくRAIDという機能がプレインストールされた機種もあります。このようなサーバを導入すればさらに安心です。


2.ソフトウェア

 通常、サーバにはサーバ専用の安定性に優れたOSを使用する必要があります。Microsoft社のサーバ専用OSとしては、Windows NT や Windows 2000、Windows XP があります。また Linux や Free BSD といった PC-Linux によりサーバを稼動するのも一つの手です。Linux は管理が多少面倒かも知れませんが、安価であり、安定性という面でも優れています。本格的なサーバ構築を目指すなら、Linux に挑戦してみるとよいでしょう。

 これに対し、クライアント機のOSははっきり言って、何でもよいです。現在売られているPCでは、ネットワークの設定機能が標準装備されたOSばかりですから、Windows 98 でも Windows Me でもLANに接続して、LAN環境の恩恵を受けることができます。クライアント機はたとえフリーズしても再起動すればよいだけですから、高度な安定性も求められません。サーバは再起動すると、LANを利用している全ての人たちが利用できなくなってしまいますが、クライアントはその時利用している個人だけの問題ですから、この点自由なのです。


3.ハードウェア

LAN構築のために登場してくるハードウェアは以下のとおりです。

ネットワークインターフェースカード
LANケーブル
ハブ(HUB)
ブリッジ
ルータ
ネットワークプリンタ
以下これからについて解説しよう。

・ネットワークインターフェースカード(NIC)

 コンピュータにLANケーブルを接続するためのネットワーク専用基盤です。最近のPCではオプションでセットにして購入することができます。NICをOSに認識させ、利用するには、専用のドライバと呼ばれるソフトウェアが必要です。購入時にオプションでついてくるNICは、ドライバもプレインストールされ動作確認もされているものですから、OSを設定するときに自動認識し、ほとんど勝手にLANへ接続できる環境が整います。

 PCを購入したのちに、新しいOSをインストールする場合には注意が必要です。OSに対応したNICを使用する必要があります。ただ、最近の Windows などのOSでは、多くのNICを認識してくれます。Linuxの場合には適合するNICに若干制限があるので事前に調べておくとよいでしょう。

 NICには規格がいくつかあって、差し込むスロットによってISAバス、PCIバス、EISAバスなどがあります。最近では、10BASE-T/100BASE-TX対応のPCIバスが主流です。PCIバスは、米Intel社によって開発された拡張バスで、 132Mbyte/s の最大転送速度を実現する高速なデータ転送が可能なバスです。

 全てのNICには、MACアドレスと呼ばれるNIC個々に割り当てられたアドレスを持っています。LANの通信では、このMACアドレスを頼りに目的先を探し、パケットを送信します。

・LANケーブル

 無線LANの場合はLANケーブルは不要ですが、そうでない場合はLANケーブルでPCなどの機器を接続します。ケーブルにもIEEEで取り決められたいくつかの規格があって、用途や使用環境によって使い分けましょう。これらのケーブルは中を流れる信号には大きな差がありませんので、組み合わせて使うことも可能です。

 現在の主流は、100BASE-TX対応のカテゴリ5の非シールドツイストペアケーブルです。少し前までは安価という理由で10BASE-Tケーブルもかなり利用されていましたが、現在ではHUBもNICも100BASE-TX対応が多くなっていますので、LANケーブルはカテゴリ5のケーブルを購入するとよいでしょう。

・ハブ(HUB)

 HUBは、各機器に接続されたLANケーブルをお互いに接続するための集線装置で、LAN構築には必要不可欠です。HUBにはLANケーブルを接続するための差込口(ポートという)が複数用意されていて、これにLANケーブルを差し込んで複数の機器を接続します。最近のHUBではカスケードポートという差込口が用意されていて、カスケードポートと他のHUBのポートを接続することでポート数を増やすことができます。このような接続をカスケード接続といいます。

 また、スイッチングHUBといったより効率的なLAN環境を実現するHUBもあり、目的にあわせて利用するとよいでしょう。通常のHUBではHUBを通過するパケットをネットワーク全体に送ってしまいますが、スイッチングHUBはMACアドレスを解析して、宛先であるNICにのみデータを転送する機能を持ったHUBです。LAN環境の有用利用の面から、スイッチングHUBを利用するケースが増えています。

・ブリッジ

 ブリッジは、LANとLANを接続するための装置です。LAN間で不要なデータを通過させないといった機能があります。ブリッジに到達したデータの宛先MACアドレスを監視して、接続されるLANに対して中継するか否かのフィルタリングの機能を有しています。

・ルータ

 ルータは、ブリッジよりもさらに上位レベルのフィルタリング機能を持ち、次にどの経路にデータを転送するかを判断することができる中継装置です。ブリッジがMACアドレス情報から情報をフィルタリングするのに対し、ルータではIPアドレスやポートなどの情報をフィルタリングに利用できます。

 ルータの設定には、それなりの知識が必要です。専門の資格があるほどです。逆にいえば、ルータを正しく設定できると、LAN環境のセキュリティーは飛躍的に向上します。すなわち、外部インターネットとのLANの橋渡しにルータを設置すれば、外部から利用するサービスだけを通過させそれ以外をフィルタリングすることで、外から用意に攻撃できなくなります。