研究分野

データサイエンス研究: 情報数理応用 / 経営情報学

広い意味での“情報数理応用”と“経営情報学”、並びにデータサイエンスに関する研究領域を対象としています。 “純粋な数学”と“応用を見据えた数理”とでは、ずいぶんと視点が異なります。 経営システム工学の一分野としての“情報”や“数理”を扱っていますので、やはり役に立つ工学、あるいは実学であることは大前提と考えます。最近のキーワードで言えば、データサイエンス、人工知能、ビジネスアナリティクス、ビッグデータ分析、機械学習、データマイニングなどが関連しています。
情報システムにおいてだけではなく、経営システム工学の様々な分野において“情報数理”は、新たな視点を切り開き、見通しのよい議論を可能とします。 本研究室では、様々な場面で有用となる手法や技術について、積極的にチャレンジします! 例えば、下記のようなテーマがあります。

ビジネスアナリティクス(先進的機械学習のビジネス活用技術)

従来の統計学が対象としてきた計画的に取得されたデータ、あるいは情報量の多いデータだけでなく、ビジネスプロセスにおける日々の業務や活動によって蓄積された大規模なデータが分析対象になります。このような大規模データの特徴は、高次元、スパース、多様性など、様々な側面がありますが、このようなビッグデータの特性を踏まえたビジネスアナリティクス技術の基礎研究が重要です。
このようなビッグデータ解析は、地理情報システムや大規模画像データなどの分析技術として脚光を浴びていますが、企業経営の様々な業務で蓄積される経営情報も、そのサイズは増加の一途を辿っており、経営工学的な切り口を持ちつつ、大規模データを対象としたパターン分析技術を援用する方法論が必要となっています。

パターン認識と機械学習の基礎と応用

コンピュータが人間のような柔らかい思考や学習を行うための基盤技術は、人工知能や知識情報処理という言葉で発展してきました。高性能なコンピュータが行うことを前提とした様々なモデルや処理技術が研究されています。これらは基本的に、膨大なデータを学習して知識を構成する統計的学習による技術であり、データ分析と密接な関係があります。
人間が得意とする高度なパターン認識技術や学習能力をコンピュータ上で実現し,大規模な経営データやマーケティングデータを分析できれば,強力な意思決定支援ツールとなります。例えば,画像データの分類タスクでは,消費者から美味しそうに見える画像データを自動抽出できれば,様々な応用に活用できるでしょう。 経営工学分野で有用となる次世代パターン認識技術,そして機械学習モデルについて日々研究を重ねています。

多様なデータ(構造化データ・非構造化データ)の分析技術

SNSサイトや評価Webサイトの普及に伴い、人間が通常使う言葉で書かれた自然言語のテキストデータや写真などの画像データが大量に流通する時代となりました。 例えば、新聞記事もWeb上に写真付きのテキストデータで公開されていますし、レポートや論文等の技術文書もPCで作成され、電子的に扱われる時代になっています。
これらのテキストデータや画像データは増加の一途を辿っており、人手で分類整理したり、要約や分析をしたりできる量を超えつつあります。 企業の従業員同士のコミュニケーションにおいても、ビジネスチャットアプリが活用されるようになり、業務を遂行するためのコミュニケーションデータもテキストデータの形で取得できるようになっています。 このような多様なデータを自動分析する手法の重要性が高まっています。

マーケティングデータ分析

現在のマーケティング活動において、情報システムの援用は不可欠となっています。ID付きPOSデータやWeb閲覧履歴データなど、日々膨大に蓄積されるデータが急増しました。このような大規模な経営データは、重要なマーケティング資源となっています。このようなデータを活用し、様々なマーケティング施策や経営意思決定に結び付けるための基本的な分析モデルや分析技術の研究をしています。
また、企業との共同研究により、大規模なID付きPOSデータやECサイトのログデータ(閲覧履歴や購買履歴)の分析を行っています。実データ分析では、問題によってそれぞれ特性が異なる部分もあるため、一般性のある法則や問題に依存した様々な新しい発見があります。データ解析コンペティションなどにも参加して、様々なタイプのマーケティングデータの分析にも取り組んでいます。

ベイズ統計と統計的学習理論

統計的な手法を援用し、コンピュータ自身が学習し、高度な判断を実行させる処理を“統計的学習理論”といいます。実は、コンピュータの学習理論として“ベイズ統計”の枠組みが非常に相性が良いこともわかっていて、現在も多くの研究者がこの分野の研究を行っています。
不要なメールをフィルタリングするための“スパムフィルタの学習”など、すでに様々な応用がされていますが、これからさらなる発展が期待されています。テキストデータ分析やマーケティングデータ分析のための統計モデルにおいても、ベイズモデルは広く活用されています。

情報理論とその応用

現在の情報通信技術は、情報圧縮の技術、誤り訂正の技術など、情報理論に基礎をおく様々な技術によって支えられています。このような情報理論の応用範囲は極めて広く、経営システム工学分野の様々な問題についても、情報理論的な視点から考察することができるのです。
すでに実用化されている情報圧縮技術は、データの統計的性質を学習しながら圧縮を進める機能を有しており、学習理論とも密接な関係があります。情報理論の基礎理論とその応用は、一般的なデータ解析や学習問題を理解するうえで、非常に重要な観点を提供してくれるのです。

Webシステム活用のための基盤技術

現在、先進的なWebを前提とした様々な情報処理技術が発展しています。例えば、フォークソノミーと呼ばれるユーザが自由にタグを付与できるソーシャルブックマーク。ここに蓄積された膨大なユーザの知識は、有用な情報源として魅力的で、様々な用途のために分析するための手法が研究されています。
また、情報検索の技術、情報推薦(リコメンデーション)の技術など、多くの技術が実用化されていますが、これからもさらに発展の余地があると言えるでしょう。


研究室紹介

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